花盗人も罪になる
手芸教室が終わり、紫恵は希望のお迎えに保育所へ足を運んだ。

希望は紫恵に手を引かれながら、どことなく元気のない紫恵の顔を見上げた。

「しーちゃん、お腹痛いの?」

「ん? 痛くないよ。どうして?」

「しーちゃん、さっきから痛そうな顔してるもん」

幼い子供は身近な大人の微妙な変化を敏感に感じ取る。

紫恵は慌てて目一杯の作り笑いを浮かべた。

「どこも痛くないよ。今日の晩御飯は何にしようかなーって考えてたの。ののちゃん、何食べたい?」

うまく取り繕ったと思ったのに、希望には通用しなかったようだ。

希望は紫恵の手をギュッと握りしめた。

「しーちゃん、のの、今日は晩ごはんいらないよ」

「え?」

「帰ったら、しーちゃんの痛いのが治るまで、痛いの痛いの飛んで行けーってしてあげる」

「ののちゃん……」

希望はいつの間にこんなに大きくなったのだろう?

目に見えるような怪我をしているわけでもないのに、紫恵の心の痛みまで感じ取っていたわれるようになっているなんて。

「ありがとう、ののちゃん……。大丈夫だよ、もう痛くないから。でももっと元気が出るように一緒に御飯食べてくれる?」

「うん!」

希望は満面の笑みを浮かべた。

希望の笑顔を見ると、なんだか心が洗われるようだ。


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