花盗人も罪になる
「じゃあお買い物に行こうか。今日の晩御飯は何にしようかな。ののちゃん、何食べたい?」

「えーっとね……ハンバーグ!」

「ハンバーグか。よし、大きいハンバーグにしよう!」

「しーちゃんハンバーグ好きだもん、食べたらいっぱい元気出るよね! ののもしーちゃんのハンバーグだーい好き!!」

希望の食べたい物を聞いたはずなのに、希望は紫恵の好きなハンバーグにしようと言った。

希望は間違いなく心の優しい子に育っている。

「ねぇののちゃん、私のこと好き?」

「いっぱいいっぱい、だーい好き!!」

「私もののちゃんだーい好き!!」

希望が赤ちゃんの時から一番長く一緒にいて世話をしてきたのは紫恵だ。

紫恵にとって、我が子のように愛情を注いで成長を見守ってきた希望に愛されていることは、間違いなく幸せだ。

この先も逸樹の子供を産むことはできないかもしれないけれど、今しかない希望との時間と、今目の前にある幸せを大切にしようと紫恵は思った。



その日の夜、紫恵は保育所からの帰り道で希望に言われたことを逸樹に話した。

逸樹は希望の心の成長に驚き、優しい子に育っていることを素直に喜んだ。

「ののちゃん、そんなこと言うようになったんだね。俺、なんか嬉しいよ」

「お姉ちゃんといる時はもっと年相応に甘えてるのかもしれないけどね。でもやっぱり、人を気遣える心が育ってるんだなって思うと私も嬉しい」


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