花盗人も罪になる
これを機に春菜が真剣なお付き合いというものをしてくれたらと、紫恵は母親のようなことを考える。

きっと綾乃も圭も同じ気持ちだろう。

「もういるからご心配なく。今度は不倫じゃないし、私にベタ惚れ」

「早っ!!」

春菜のあまりの変わり身の早さに綾乃が思わず声をあげた。

「さすが自他ともに認める恋多き女……」

圭がなかば呆れながら思わず呟いた。

「長く付き合ってた彼女がいたみたいだけど、別れるから付き合ってくれって」

春菜はまた他人事のようにそう言った。

「ええっ?!」

「今度は彼女持ち……?」

「彼女は浮気癖があったらしいけど、長いこと付き合ってたから別れるのもなかなか踏ん切りつかなかったんだって。お互いに冷めてたんならいい機会だったんじゃない? 彼女にとってもさ」

これにはもう、ぐうの音も出ない。

モテ過ぎる女は、言うことも思考回路も、人並みの女とはきっと違う。

そう思うしかなさそうだ。

紫恵、綾乃、圭は黙って料理を口に運んだ。

春菜からは男を惑わす特別なフェロモンでも出ているのか、これまで付き合った相手を振り返ると同じようなパターンが多い。

春菜はそれを悪びれもせずさらりと話すので、同性には嫌われやすい性格だ。

良くも悪くも思っていることはハッキリ言うけれど、それでちょっとした口論になっても、いつまでも気まずさを引きずらない。

紫恵たちが春菜とずっと友達でいられるのは、春菜は正直で裏表がなく、嘘をつかない人間だとわかっているからだ。

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