花盗人も罪になる
「春菜じゃないけどさ……いい機会だったのかなって。ずっとこのままではいられないって思ってはいたけど、自分から言い出す勇気はなかったから」

圭の気持ちを思うと胸が痛む。

紫恵は何度か圭と彼の住むマンションに遊びに行った時に見た、仲良さげに笑っていた二人の姿を思い出した。

玲音(れおん)くんは圭のこと大事にしてるんだと私は思ってたのに……」

紫恵が呟くと、春菜は顔をしかめた。

「レオンって……圭の別れた彼氏は外国人?」

「違うよ、日本人。外国人っぽい名前だけど名字は日本で2番目に多い鈴木だし」

春菜がなぜそんなことを聞くのか、圭は不思議そうに答えた。

「ふーん……圭が彼と別れたのは半月前なの?」

「うん。まだ新しい部屋が見つからなくて一緒に住んではいるけど……。部屋が見つかれば私が出ていくことになってる」

春菜はまた顔をしかめた。

「別れ話は彼氏から?」

「そう。このまま一緒にいても結婚とか将来のことは考えられないから、圭のためにも終わりにしようって」

春菜は口をへの字にして小さく息をついた。

一体どうしてそんなに圭と彼の別れ話に食いつくのか。

紫恵と綾乃は不思議そうに顔を見合わせた。

「圭はさ……ホントに彼が好きだった?」

「すごく好きだったし……今でもまだ好きだけど……私だけが好きでもしょうがないもんね」

「そっか……」


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