花盗人も罪になる
「浮気癖があったのはアンタの方でしょ? 圭がそんなことするはずないじゃん! 圭をほったらかしにしたくせに、ずっと縛り付けて動けなくしてたのもアンタじゃないの!!」

春菜は玲音の胸ぐらを掴んで玲音の頬を平手で思いきり殴った。

「何が圭のためよ……。アンタは自分のために圭を捨てたんでしょ……?圭はアンタが好きだったのに……! アンタのこと、ずっと本気で好きだったのに……!! 圭に謝れ! 土下座して謝れ!!」

拳を握りしめて玲音の胸を何度も強く叩く春菜の目から、涙がこぼれ落ちた。

圭はたまらず駆け寄って、春菜の腕を掴んだ。

「春菜……もうやめて……。私のことはいいから……玲音を責めないで……」

「圭……」

玲音は嘘をついて自分を捨てた男をかばう圭に驚いている。

「圭はお人好し過ぎる……。だからこんな男に騙されんのよ……」

春菜は拳を握りしめ、うつむいて唇を噛んだ。

「私はね……嘘つかれるのが嫌いなの。平気で嘘つく人間は許せない。私の大事な友達を傷付ける人間はもっと許せない」

春菜は涙で濡れた頬を手の甲で拭って、冷たい目で玲音を見た。

「もう顔も見たくない。今すぐ消えて。二度と私の前に現れないで」

「……わかった」

玲音は力なく肩を落として春菜に背を向けた。

そして一瞬立ち止まり、振り返って圭の方を見た。

「圭……ごめんな」

圭は何も言わなかった。

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