花盗人も罪になる
玲音が部屋を出て行くと、春菜は圭を抱きしめて泣いた。

「圭のバカ!! なんであんなやつかばうの?! 文句のひとつも言ってやれば良かったのに!!」

「春菜、もういいんだって……。でも、私の分まで怒ってくれてありがと」

圭は春菜の背中をさすりながら微笑んだ。

「私は玲音を好きになったことは後悔してないよ。一緒にいられてホントに幸せだった時もあったから」

「圭のお人好しバカ……」

「お人好しはまだいいとして……バカは余計でしょ……?」

圭が笑うと、春菜は圭に頭を下げた。

「勝手なことしてごめん……。でもどうしても許せなかったの。玲音が圭の彼氏だって知ってたら、私は玲音とは付き合わなかった」

「うん、わかってる。私が言いたくても言えなかったこと……私がずっと玲音を好きだったって春菜が代わりに言ってくれたし……だからもう、いいんだ」

圭の目からも涙が溢れてこぼれ落ちた。

「言えなかったことって……そこ……?」

春菜は涙を拭いながら呆れたように呟いた。

紫恵と綾乃は顔を見合わせ、愛しそうに春菜と圭を見つめて微笑んだ。

「コーヒー冷めちゃったね。どうする? 淹れ直す?」

「私は猫舌だからそのままでいい」

「そういえば春菜は猫舌だったね。圭と紫恵は?」

「私もそのままで……」

「私も」

「じゃあ、さっさとぬるいコーヒー飲んじゃって、2杯目は温かいの飲もう」


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