花盗人も罪になる
冷めきったぬるいコーヒーを4人で飲んだ。

「また独り身になっちゃったなぁ……」

「春菜と付き合いたい男なんて、いくらでもいるでしょ」

「まぁねー……。そうなんだけどさぁ……」

綾乃はおかしそうに笑って、手作りの大きなプリンをみんなの器に取り分けた。

「春菜も圭も、今度こそちゃんと将来のこと一緒に考えられる人、ゆっくり探せば?」

「優しい旦那とかわいい子供か……。幸せな主婦は余裕があっていいなぁ……」

春菜はそう呟いて、プリンをスプーンですくいながら少し考えるそぶりを見せた。

「紫恵……もう子供は完全にあきらめたの?」

「私は……子供が欲しくないわけじゃないけど、授かり物だからね。もう無理するのはやめて、自然に任せることにした」

「そうなんだ……」

「この先も子供ができないとしても、それにはそれなりの意味があるんだって。このまま夫婦二人きりで生きて行くのも幸せだって、今は思ってる」

どんなに望んでも、一度は宿ったはずの我が子をその手に抱くことのできなかった、度重なる悲しみを夫婦で乗り越えた紫恵の言葉は、同じ女として3人の心に重く響いた。



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