花盗人も罪になる
それから池の周りの遊歩道を散歩した。

希望はりぃのリードを手に持って、楽しそうに歩いている。

「近田さんはどうしてののちゃんと友達になったんですか?」

「この間、スーパーで知り合ったんです。ののちゃんが私に突進してきて。その時、一緒に来ていた人とはぐれたって言って、手をつないで探したんですよ」

「すみません、ご迷惑お掛けして……」

逸樹は申し訳なさそうに香織に頭を下げた。

「いえ、迷惑なんて。探してた人はすぐに見つかりましたし。私は小さい子が好きなのでののちゃんとお友達になれて嬉しかったですよ」

香織がそう言うと、逸樹は優しい顔をして笑った。

きっとこの人はいいお父さんになるだろうなと香織は思った。



池の周りの遊歩道を一周した頃、逸樹が腕時計を見た。

「ああ、もうこんな時間だ。ののちゃん、お昼過ぎたから帰ろうか」

「のの、まだりぃちゃんと遊びたい」

希望はりぃを抱いて不服そうな顔をした。

逸樹は優しく希望の頭を撫でた。

「うん、そうだね。でもしーちゃんがお昼御飯用意して待ってるから帰ろう」

「しーちゃん……?」

香織は小さく呟いて、スーパーで会った『しーちゃん』を思い浮かべ首をかしげた。


< 37 / 181 >

この作品をシェア

pagetop