花盗人も罪になる
何やら妙なことに巻き込まれてしまった。

最近、自分が帰る頃になると決まって円も同じタイミングで退社していたのは、そういう理由があったからなのかと納得はした。

けれど、何度駅まで一緒に歩いても、逸樹はやはり円が苦手だ。

円は自分の魅力をじゅうぶんにわかっていて、男を勘違いさせるようなことをわざと言っているのだろう。

ストーカーまがいの男がいても心当たりがまったくないなんて、これまでにかなりの人数の男を泣かせてきたに違いない。

背が高くて頼り甲斐がありそうだと言われた時には、まさか家まで送って行けと言われるのではとヒヤッとした。

方向も全然違うのに、家まで送って行くなんて冗談じゃない。

そんなに不安なら、タクシーでも使えばいいだけのことだ。

それにきっと円なら、毎日駅まで迎えに行ってやると言う男くらいいくらでもいるだろう。

自分が心配するほどのことでもなさそうだ。


それより早く家に帰って、愛する紫恵の顔がみたい。

愛する紫恵と、かわいい希望と一緒に過ごす時間は、逸樹にとって一日の疲れを癒やしてくれる至福の時。

今日は遅くなったから、夕飯は一人で済ませることになるかもしれないと思うと残念だ。



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