夜の図書室で
 僕の見せた文庫本で、ナナちゃんの暗い表情はさらに暗くなった。


 ナナちゃんだって、わかっている。笑えない。自殺で死ぬなんて、ちっともおもしろくない。


「あーあー! な-んにもない人生だったな!」


 吐き捨てるようにナナちゃんが言って、


「やめろよ! もうそういうこと言うな!」


 つい、大声で言ってしまい、ナナちゃんは一瞬、びくっとおびえたような眼をした。


 それから、ナナちゃんの表情は再び無になった。
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