にゃおん、と鳴いてみよう
「お腹すいてるよね。あなたずーっと寝てたから、その間に色々買って来たんだよ。ほら、ネコ用ミルクもあるんでちゅよー」
赤ちゃんにでも話すみたいに、その人は言う。
失礼ね。あたしもう赤ちゃんじゃないのよ。ちゃんと何でも食べれるんだから。
とはいえ、いい匂い。ずーっと食べてないもん。お腹すいたなぁ。
「はい、どうぞ?」
優しい声で言われたら、何だか嬉しいかも。
ううん、でもでもダメ。
ニンゲンなんて、ちっとも優しくないもん。
でも……いいにおい。
やっぱりお腹は空いていて、強烈においしそうな匂いに抗うのは難しいみたい。
舐めてみようか。
変なもの入ってたらどうしよう。
でもこのままじゃあ、お腹がすきすぎて死んじゃうかもなぁ。
そしたら一緒かあ。
そう思って、一度ぺろりと舐めてみた。
舌に優しい甘味が伝わる。まろやかなのに、体を潤してくれるみたいな。
おいしい!
これはおいしいよ!
ぺろぺろ、ぺろぺろ。すぐにお皿の底がみえてくるくらい、いっぱい舐めた。一口食べるごとに、体に力が湧いてくるみたい。
ママのおっぱいに、負けないくらいおいしい。『ゴハン屋敷』の食べ物より、ずっとずっとおいしい!