にゃおん、と鳴いてみよう
ミネちゃんという人

 それから、ミネちゃんとあたしの暮らしが始まった。

気ままに出かけたり寝ていたりしていた主さんとは違って、ミネちゃんの生活は規則正しい。朝出かけて行って夕方帰ってくる。
『オシゴト』ってやつに行くらしい。

ミネちゃんがいない間は、あたしは自由にこのおうちの中を歩き回れる。
といっても、『ゴハン屋敷』みたいに広くはなくて、あたしのお布団を置いてくれたお部屋と、ミネちゃんが『こおひぃ』をよくいれてる台所。そして、トイレとお風呂だけのおうちだ。

あたしのトイレもここにあるから、トイレのドアはあけっぱなしにしてくれてる。

まあ、これがトイレだよって覚えるまで、三日くらいかかったんだけどね。


「モカちゃん、コーヒー好きみたいだから」


そう言って、ミネちゃんはお砂にカラカラになった『こおひぃのコナ』ってやつを混ぜてくれた。

あの『こおひぃ』の香りがするから、あたしはまたママの色が見れるんじゃないかって思って何度もそこに行った。

砂に混じったこぉひいのコナはママの色ではなかったんだけど、その度にミネちゃんが「ここがモカちゃんのトイレよ」っていうから、ようやく覚えたの。


ミネちゃんは、面白い。
元気でいつもにこにこしてて、あたしの事すぐ触りたがる。

今は声が出ないから、イヤって言えなくって、すぐつかまっちゃう。
だけど撫でられてると気持ちいいから。ま、いいか、なんて思うんだけどね。

< 22 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop