好きだけど、近づかないでくださいっ！

「そう。体質改善なんてそんな簡単にできるものでもないでしょ？まあそのスキサケ？が体質なのかすらもよく、分からないけど。でもね、普通に治せないのなら荒療治でもするしかないんじゃない？」

荒療治。荒療治ってなんだろう。避けそうになっても頑張って耐えるとか？

そんな話をしていると、続々と料理が運ばれてくる。早速、エビトーストに手を伸ばし、スキサケの会話は終了。

食べ始めると私たちは、グルメ評論家のように料理について語り始める。


だから、荒療治のことも課長の言った嫌がらせもすっかり忘れていた私は、翌日本当の荒療治を体験せざるを得ない事態になるなんて思ってもみないでいた。


「これから戸松くんには課長補佐として頑張ってもらいたいんだ」


翌朝、いつもと何も変わることなく、普通に出勤すると部長にちょっといいかなと呼び出された。


第二会議室なんて初めて入ったなと周りを見回す。

本当に小さな会議室で4人分のパイプ椅子と大きなデスク。それとホワイトボードのみ。


部長に椅子に座るように促されるといきなり突拍子もない辞令を言い渡された。


「えっ？あの、課長補佐ですか？わ、私がでしょうか？」