好きだけど、近づかないでくださいっ!
「嫌がらせしてやるって言っただろ。お前が逃げるなら、俺が追うって。だから、お前が離そうとすればするほど俺は力を込める。それが嫌なら受け入れろ」

受け入れる?何を受け入れればいいのかわからない。

当然、目を見るなんてことは出来なくて俯いていたら片手を離され、その離した手で顎を掬われた。

「治したいんだろ?俺は優しくなんてしてやるつもりはこれっぽっちもねえ。だから、お前は俺を見て、この手を離すことも出来ねえんだよ」

「無理です。お願いです。離してください。これ以上、課長のそばにいたら・・・」

「いたらどうなるんだ?自分でもそれ以上がわからないんだろ?だったら一度限界を超えてみろ。大丈夫だよ。何があっても、どんな症状でも俺がお前を守ってやる」

身体の中が熱くなって、さっきから心臓の音がうるさい。

限界を越えたら一体どうなるんだろう。

わからない。怖い。それなのに、視線を逸らすことも許されない、手を離すことも出来ない。

「落ち着け。大丈夫。怖くなんかないから俺はお前の好きな人なんだろう?」

そっか、この人は私の好きな人。
好きな人、好きな人。

涙が溢れる。苦しくて熱くて今にもこの場からすぐに立ち去りたいのに、繋がれた手はとても温かくて、目の前の瞳はとても優しい。

そう思ったのに突然、頭が割れるように痛くなった。耐えられない。吐き気もして苦しい。涙も止まらない。
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