好きだけど、近づかないでくださいっ!
「おい、戸松。大丈夫か?戸松、戸松」

なんで、こんな風になっちゃったんだろう。もっとあの温かい手に触れていたかった。優しい眼差しを見つめていたかったのに。

そう涙を流しながら、私はフッと意識を手放した。



誰かがゆっくりと優しく頭を撫でてくれている。こんな風にされたのは小さい頃、お母さんに寝かしつけてもらうとき以来かもしれない。

お母さんの手が心地よくて、スーッと眠れた。懐かしいな。

「鈴、大丈夫?」

ゆっくり目を開けて、一番最初に目に映ったのは心配そうに私を覗き込む那月の姿。

さっき頭を撫でてくれていたのは那月?


「那月、ここは那月の部屋だよね?」


体を起こし、辺りを見渡す。何度かお邪魔させてもらったから分かる。真っ白な壁もガラスの引き戸も覚えてる。

でも、なんで?
なんで、私那月の部屋にいるの?


「覚えてねえのか?お前、ファミレスでぶっ倒れたんだよ。で、病院連れてくか悩んだけど、とりあえず桐島に連絡してここに連れてきたんだよ」


「か、課長」


那月の隣には課長がいた。

そうだ、私。スキサケの限界を知れって言われてそのまま倒れたんだ。でも、なんで、なんで課長と那月が部屋まで知る仲なの。
< 61 / 113 >

この作品をシェア

pagetop