好きだけど、近づかないでくださいっ!
「心配しなくても、課長と私はお隣さんなのよ。たまたま偶然ね」

「えっ?嘘。だってそんなこと一言も」

「だって今までは話す必要もなかったし、勘違いされても嫌じゃない」

「そ、そうだけど」

でも、話の種で話してくれてもよかったのに。なんだか自分だけが知らなかったことが面白くない。

ごめんごめんと謝りながら、お茶でも入れてくるねとキッチンに立つ那月と変わるように私の横に移動してきた課長。

そして途端にスキサケはまた発動する。

「ぶっ倒れてもいいから、離れんな」

距離を取ろうとふとんを履いで、急いで立ち上がるも腕を掴まれ、引っ張られて彼の腕の中にとじこめられた。

「俺は、課長じゃない。俺様で口の悪い椎野さんだ。だから逃げんな」

俺様で口の悪い椎野さん。

違う。この人はスキサケ対象の椎野課長じゃない。脳にそう伝達すると気持ちがスーッと落ち着いた。
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