黄金の覇王と奪われし花嫁
◇◇◇
「たしかにね・・誰でもいいとは言ったわよ。けど、何であなた?」
素直すぎるほどに不満を露わにするユアンにナジムはにこりと微笑んだ。
ユアンに言わせれば、心のこもってない薄っぺらい笑顔で。
「さぁ?俺は族長の決定に従うだけですから」
バラクとの決別から数日後。
いつも通り、雑務をこなしていたユアンの元にふらりとナジムがやってきて言ったのだ。
よろしく、奥方様ーーと。
バラクは何を思ったか、ユアンの新しい嫁ぎ先をナジムの元と決めたようだ。
ユアンは大いに不満だった。
ナジムと自分は相性がいいとはとても思えないが、それはまぁ良しとしよう。
問題は・・・ナジムの元じゃ、バラクとそんなに離れられないのだ。
顔を見なくても済むほど遠くに嫁ぎたかったのに。
ユアンははぁーと深い溜息をついた。
「まぁ、不満があるのはわかりますけどね。 けど、俺はバラクのように優しくないので妻としての務めはきっちり果たして貰いますよ」
「わかってるわよ。 ちゃんと、あなたに尽くすし、子も産みます」
バラクと約束したのだ。バラクの妻としては役立たずだった自分だけど、今回こそは子を産むという務めを果たさなくては。
「それと、俺は博愛主義なので貴女以外にも機会があれば妻を娶ることがあるかも知れませんが・・・」
「それは全く構わないわ。 何十人でも好きなだけどうぞ」
「うーん。そこまで言われると、何となく面白くない気もしますね」
自分には1㎜も興味はないと言いたげなユアンの態度にナジムは苦笑した。