女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~


 そのままバカ話をしていたら、遅番の出勤時間となり、今日の相方である福田店長が出勤してきた。

 おはようございます、と笑顔で挨拶して、まだ散々な売り上げについて話した。

 そして意識を切り替える。

 とことんまでどん底にいた去年の私を拾ってくれたこの売り場に私は結構な恩を感じている。自分が入っていて予算達成ならずは嫌だ。前を通るお客様を捕まえるべく、笑顔を作ってショーケースの前に立った。

 やるべきこと、チョコレートの販売。



 昼休み、私は店食でぼーっと雑誌をくっていた。

 今日は珍しく話し相手が誰もおらず、カウンター席に座って壁を向き、ダラダラと弁当を食べてリラックスしていた。

 お茶を飲んで雑誌を見るともなしに見ていたら、眠くなってくる。

 売り場も暇だし、こりゃあコーヒーでカフェイン摂取しとかないとやばいかも・・・と思っていたら、ズキン、と頭が痛んでハッとした。

 うう・・・。これは、もしかして。

 私は目を閉じて唸る。

 実は頭痛持ちの私、小さい頃は移動生活のストレスで偏頭痛をもっていて、随分苦しんだものだった。

 大人になってからは生理前や風邪の時などの体調不良時だけにはなってきていたが、こうやってたまにくるのだ。

 ありゃあ・・・薬、持ってたっけ?額を押さえて目を閉じていたら、隣に人の気配がして顔を上げた。

「お疲れ。どうした?」

 彼が笑って立っていた。

 私は驚いてじっと見る。頭痛のことを一瞬忘れた。


< 12 / 136 >

この作品をシェア

pagetop