女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
今朝で鮮魚を出た彼は、スポーツ用品の制服(つまり、ジャージだ)に着替えていて、それがあまりにも似合っていたので、思わずガン見してしまったのだった。
「・・・ん?」
「いや、よく似合うねーと思ってしまって・・・」
なんか、イケナイ事みたいに言うな・・・と苦笑して、彼が隣の席に滑り込む。体が大きいのでカウンター席では窮屈そうだ。
「はあ~・・・着るものが違うと、本当イメージって変わるんですねえ・・・」
まだマジマジ見る私に、職場でそんなに見詰められると困る、とまた軽口をきいていた。
灰色のラインが2本入った白いTシャツにスポーツパーカーを羽織っている。柔らかいジャージ素材のズボンに黒いスニーカー。こりゃあ鮮魚のときとはえらい違いだ。
「・・・フィットネスクラブの、ボクシングのコーチとかにいそう・・・」
私の感想にまた笑った。
「それ、全く同じこと言われた。久しぶりにあった同僚の女性に」
弁当の蓋を開けながら言う彼を見た。当たり前だけど、私が作った同じ弁当だ。量が倍なだけ。
「へえ。久しぶりに会った?その人はずっと3階にいたってこと?」
ちょうど暇だったしまだ時間もあるしでその話題に言葉を返す。
「いや、俺が入社した時にいたとこで一緒だった人。今度の人事異動でここに配属されたらしい」
彼が調査会社を辞めて初めに入社した時は、こことは違うもっと都心に近い百貨店だったと聞いた。
その時の同僚がこっちに移動になって4年ぶりに会ったのだ、と。
「ふーん」