女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
「私は玉置といいます。桑谷君とは前の店で一緒だったの。この異動で久しぶりに会ったらいい男になっててビックリしたわ。まあ、元からいい男ではあったんだけど・・・」
話しながら私の手をぎゅうと握る。案外力があって驚いた。私はするりと彼女の手を離し、そうですか、と返す。
彼女が、前に彼が言ってた同僚さんか、と思って改めて観察する。・・・・別嬪じゃん。何か、おもしろくない。彼女はニコニコと柔らかい笑みのままで続ける。
「いつの間に結婚したのよ、って驚いたの。そしたら奥さんがここの地下で働いてるって他の人から聞いたものだから・・・」
「そうなんですね」
頷きながら私は微かに首を傾げる。・・・他の人から聞いた?うん?彼ではなく?
桑谷さんは私のことをどこでも話題にして自慢しまくっている。それが、彼からではなく他の人から聞いた、ということに違和感を覚えた。
そしてその感覚に、ハッとした。
この違和感、前にも感じた・・・・。どこでだっけ・・・。
私をじっくり眺めて切れ長の瞳をさらに細めて、玉置さんはゆっくりと言った。
「・・・綺麗な人。うまくやったのね、あなた。どうやって彼を捕まえたの?」
私は笑顔を固定したままで目の前の美人をじっと見詰めた。
―――――――・・・ん?トゲを感じたぞ、今。