女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
「と、思います。あれがペンキだったら犯人を殺してやる。とにかく酷い状態で、勿論着れないし、靴もまた買いにいかないとダメなんです。それで・・・」
「制服を取りに戻るのね?」
引き取って言ってくれた店長に、はい、と頷いた。
「靴もまた買ってきます。家が近いからそんなに遅くならないと思いますが、11時半には入れそうにはいです」
痛ましい顔のまま、店長は頷いた。
「判りました。何だかビックリする話だけど、慌てなくていいからゆっくりしてね」
話しているうちに少し落ち着いてきた私は、肩で息をついて、はい、と言った。
そしてまた、今来たばかりの道を戻って家に帰った。
代えの制服を取って、靴を買いに行かなきゃ。
歩きながら考える。ロッカーの鍵は毎日こまめに変えるようにしていた。だから、盗み見られたわけではなさそうだ。
と、いう事は?
後はどんな方法がある?
しばらく考えて、私は一人で頷く。
「総務だ」
ロッカーは、知らない間に隣の人の腕が当たったりしてダイヤルが変わってることに気付かずに閉めてしまった人が、翌日開けれずに困ることがある。
そんな時は、総務に行って、マスターキーで鍵を開けて貰うのだ。遅番ならいいが、惣菜などの出勤が早いところの子でそうなると、総務は9時からしか開かないので仕事に行けず困ることになる。それで、たまに私服で店のオープン準備をしている販売員の姿も見かけた。