最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「うわあ! こっちにまで蔦が伸びてきたぞ!」
「あら! また『自然現象』ですね!」
「だ、誰か火を消してくれぇ!」
「おお! また『自然現象』の発生なり!」

 イフリート様とノーム様の『自然現象』大連発と、エヴルの大活躍で戦況はどんどんこちらが優位になっていく。

 このぶんだと本当にこっちの完全勝利になりそう!……と思った私の視界の端で、コソコソと動く影があった。

「ティボー様!?」

 騒動の隙をついてヴァニス王の剣を台座から引き抜こうとしていたティボー様が、ビクッと振り返る。
 そのみっともないオドオドした態度に、私は青筋を立てながら怒鳴りつけた。

「貴族の息子のくせに、コソ泥の真似までするの!? どこまで卑怯なボンレスハムなのよ!」

 略奪行為を阻止すべく台座に駆け寄った私とティボー様は、激しく揉み合った。

「この剣はエヴルの物よ! 手を放しなさいボンレスバカ息子!」

「ええい! そっちこそ手を放せ小便小娘!」

「痛い! よくも蹴ったわね!? その豚バラブロック肉みたいな足、調理糸で整形してベーコンにしてやるから!」

「キアラ様! 危ない!」

 エヴルの緊迫した声にハッと振り向いたときには、もう目の前で兵士が剣を振りかぶっていた。
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