最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
それに、田舎者だから田舎に住んでるわけじゃないし、庶民だから田舎にいるべきとも思わないし、逆に頂点を目指して這い上がるべきだとも、まったく思わない。
「みんな住みたいから住んでいるし、目指したいから目指してるだけ。風のように思うままに、自分の望む場所へ吹くだけ……ゲホッ! ゲホッ!」
強く咳き込んだ拍子に、喉の奥から血生臭い匂いがムッと込み上げてきた。
ちゃんと呼吸しているはずなのに息苦しくて、肩が大きく上下する。
鉛のように重く感じる全身はひどく寒気がして勝手に震えだし、全身から玉のような汗が噴き出した。
「ちょ、ちょっと? どうしたのよ?」
「ハア……ハア……」
もう答えることもできなかった。
目を開けていることすら苦痛で、無理にこじ開けた目で自分の胸元を見たら、赤い斑点が散っている。
……あ、これ、血だ。咳したときに吐いたんだ。
「しっかりしてよ! 死ぬなら救助された後にして! こんな所であんたの死体とふたりきりで過ごすなんてごめんだわ!」
夫人に肩を掴まれてガクガク揺さぶられたけれど、意識がふぅっと遠のいていく。
いよいよこれは死ぬかもしれないなぁと思ったけれど、不思議と恐怖は感じなかった。
ただ……エヴルにもう二度と会えないことだけが、悲しくて寂しかった。
「みんな住みたいから住んでいるし、目指したいから目指してるだけ。風のように思うままに、自分の望む場所へ吹くだけ……ゲホッ! ゲホッ!」
強く咳き込んだ拍子に、喉の奥から血生臭い匂いがムッと込み上げてきた。
ちゃんと呼吸しているはずなのに息苦しくて、肩が大きく上下する。
鉛のように重く感じる全身はひどく寒気がして勝手に震えだし、全身から玉のような汗が噴き出した。
「ちょ、ちょっと? どうしたのよ?」
「ハア……ハア……」
もう答えることもできなかった。
目を開けていることすら苦痛で、無理にこじ開けた目で自分の胸元を見たら、赤い斑点が散っている。
……あ、これ、血だ。咳したときに吐いたんだ。
「しっかりしてよ! 死ぬなら救助された後にして! こんな所であんたの死体とふたりきりで過ごすなんてごめんだわ!」
夫人に肩を掴まれてガクガク揺さぶられたけれど、意識がふぅっと遠のいていく。
いよいよこれは死ぬかもしれないなぁと思ったけれど、不思議と恐怖は感じなかった。
ただ……エヴルにもう二度と会えないことだけが、悲しくて寂しかった。