最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「そのジンの子孫と、ヴァニス王の子孫が結ばれて、この世界で生きていくんですね。すばらしいことです」

「これは大いなる一歩なり。我らはゆっくり時間をかけて、その歩みが実っていくのを見守ればよい」

「わたしたちはこれからもずっと、キアラさんとエヴルさんを見守っていますから」

 イフリート様もノーム様も、寂しそうではあっても少しも取り乱してはいなかった。
 どんなに悲しくても、つらくても、受け入れることを納得しているんだ。
 それが必要なことなのだと、彼らは理解しているから。

 その理解のもとにジン様は世界を飛び越え、愛を成就して、やがて私という命がこの世界に生まれ、そしてエヴルと結ばれる。

 なら……私も理解し、このつらさを受け入れなければならないのだろう。
 いまにも胸が張り裂けそうなほど、悲しくて寂しいのだとしても。

 生まれたときからずっとずっと側にいて、心から私を愛し守り続けてくれたふたりとの、永遠の別れを……。

 そうは思っても、涙が滝のように両目からボロボロ零れて、啜っても啜っても鼻水が止まらない。
 みっともなくオイオイ泣き続ける私を優しく抱き寄せ、ノーム様がそっと囁いた。

「キアラさん、わたしのお願い、きいてくれますか?」

「お、ねが、い?」

「はい。『あたし達は親友よ。もちろんずっとずっとこれからも一緒だからね』って、笑って言ってください」

「……」
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