わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
長い指が茜色の髪にそっと触れる。
横髪をとく指が耳のあたりを掠め、その擽ったさにぴくんと反応した体がぐっと抱き寄せられた。
すまん、と謝る声がしたのと同時に唇が重ねられ、リリアンヌは目を閉じた。
口中を甘く這う舌に夢中で応えるリリアンヌの体は、そっとベッドの上に横たえられる。
アベルの唇は、耳、首筋、鎖骨へと移りやがてふっくらと柔らかな肌をとらえる。
得体のしれない熱を与えられて体が震え、たまらずに小さな声がもれる。
こんな声が出るなんてと恥ずかしくなるが、リリアンヌは堪えることができない。
しかもアベルは、声を抑えるな、もっと出せと言う。
肌を這う指と唇に翻弄され続け、声が枯れるほどになったころ、ようやくアベルの体が離れた。
「リリ、平気か?」
いたわるように髪を撫でる指が心地よく、疲れもあり、リリアンヌの瞼が重くなり熱い吐息は静かな寝息にかわる。
そして、ハッと気付いたときには、窓の外はうっすらと明るくなっており、鳥の囀りが聞こえてきた。
寝返りを打とうとすると体が動かず、しかも下半身に小さな疼きを感じる。
隣にはアベルの寝顔があり、逞しい腕はリリアンヌの体に巻き付くようにしていた。
道理で動けない筈だと納得するのと同時に、身も心もアベルの妃になったことを知る。
そう、もう夢ではない。現実なのだ。
昨夜、アベルがはっきりと分からせてくれた。
妃として初めて迎えた朝は、とても幸せなもの。
リリアンヌは逞しい胸に顔を埋め、こんな幸せがずっと続くことを願った。
おしまい


