プリズム!
あいつの過ごして来た八年間という長い年月が、どれだけ孤独で辛いものだったのか、俺には想像もつかない。

だけど、そのせいで自分のこととなると何でも我慢して抑え込んでしまいがちな夏樹に、いつだって『泣きたい時は思いきり泣けばいいんだ』と言ってやりたかった。

だけどそれは、こんな風に人知れず泣くという意味じゃない。


「ごめんな…。『俺が一緒にいるから大丈夫』なんて言っときながら…。ホント最低だよな…」

自責の念に駆られて、雅耶が思わず足を止めた時。

不意に前方から上級生が数人歩いて来るのが見えた。

その足取りは何処か重く、何故か皆が妙に憔悴しきっている感じだった。

(何だ…?)

その様子に違和感を感じて、雅耶は建物の陰に入って様子を見ることにした。

上級生達が横を通過して行くのを待つ。

すると近付いて来るにつれ、彼らの会話が聞こえてきた。


「…チッ…マジ、信じ…られねぇよ…」

フラフラになりながらも、仲間の腕を肩に掛けて担ぎながら歩いている男が苦しげに呟いた。
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