プリズム!
(でも、よく考えてみたら…さっきの奴ら、見覚えあるかも…)
以前、『冬樹』と力に屋上で絡んで来たっていう上級生集団とメンツが同じだったような気がする。
『冬樹』に手出ししてくるような輩だということで、どんな奴等がいるのか雅耶はしっかり顔をチェックしていたのだ。
(あの時も、あいつら五人を夏樹一人で伸したって言ってたし…。さっきのあの様子だと、そんなに腕っぷしは強くはないんだろうけど…)
それでも、今のあいつは女の子なんだ。
あいつらの出方だって男を相手にする時とは違う筈だ。
(でもまぁ…さっきの会話の感じだと、女だと思って逆に油断してやられたって感じか?)
そんなことを頭の端で考えていた雅耶に、夏樹が言葉を続けた。
『怪我なんか…してない…。してない、けど…っ…』
「けど?」
『……っ…』
「おい、夏樹っ?まさか、他に何か酷いことでもされたのかっ?」
変に深読みして焦る雅耶に、夏樹の苦しげな切ない声が耳に届いて来た。
『…痛い、よ…』
「えっ…?」
『胸が…痛くて…。…苦しい…よ…。……っ…』
語尾は掠れて、再び嗚咽が漏れるのを押さえているような苦しげな息遣いしか聞こえて来ない。
「…っ…くそっ!」
電話で話してても埒があかない。
「夏樹っ!電話切るぞ!」
雅耶はそれだけ言って一方的に電話を切ると、猛ダッシュで校舎の横を駆け抜けた。
本気で走って行けば夏樹のいる裏庭までは、あと僅かだった。
以前、『冬樹』と力に屋上で絡んで来たっていう上級生集団とメンツが同じだったような気がする。
『冬樹』に手出ししてくるような輩だということで、どんな奴等がいるのか雅耶はしっかり顔をチェックしていたのだ。
(あの時も、あいつら五人を夏樹一人で伸したって言ってたし…。さっきのあの様子だと、そんなに腕っぷしは強くはないんだろうけど…)
それでも、今のあいつは女の子なんだ。
あいつらの出方だって男を相手にする時とは違う筈だ。
(でもまぁ…さっきの会話の感じだと、女だと思って逆に油断してやられたって感じか?)
そんなことを頭の端で考えていた雅耶に、夏樹が言葉を続けた。
『怪我なんか…してない…。してない、けど…っ…』
「けど?」
『……っ…』
「おい、夏樹っ?まさか、他に何か酷いことでもされたのかっ?」
変に深読みして焦る雅耶に、夏樹の苦しげな切ない声が耳に届いて来た。
『…痛い、よ…』
「えっ…?」
『胸が…痛くて…。…苦しい…よ…。……っ…』
語尾は掠れて、再び嗚咽が漏れるのを押さえているような苦しげな息遣いしか聞こえて来ない。
「…っ…くそっ!」
電話で話してても埒があかない。
「夏樹っ!電話切るぞ!」
雅耶はそれだけ言って一方的に電話を切ると、猛ダッシュで校舎の横を駆け抜けた。
本気で走って行けば夏樹のいる裏庭までは、あと僅かだった。