プリズム!
「すっかり暗くなっちゃったな」

水族館ではイルカやアシカのショーなども開催されており、それらを休憩を挟みながら一通り見終わって、お腹も空いて来たので二人はレストランへ入って、少しゆっくりすることにした。

温かな場所で会話に花を咲かせ、ゆったりと食事をして店を出た頃には既に日が暮れ掛けていた。

「うん。でも、暗くなると…遊園地ってこんなに綺麗なんだね」

夏樹は寒さも忘れて、始めてみる景色に瞳を輝かせた。

乗り物や建物を縁取るように沢山の電飾が灯っていて、昼間目にした遊園地とは雰囲気が全然違って見える。

そして、奥には大きなクリスマスツリーがやはりカラフルな電飾で飾られ、遠く浮かび上がって見えていた。

「夏樹、時間はまだ平気だろ?折角だし遊園地の方も行ってみないか?」

「うん。そうだね」

そうして二人歩き出そうとするが、不意に雅耶が何かに気付いたように足を止める。

「あ、でも夏樹、お前…寒くないか?」

「え?」

確かに昼間に比べて夜風は冷たく、気温も幾らか下がったのか吐く息は白かったが。

「結構着込んでるから大丈夫だよ?」

そう答えると。

「そうか。ならいいんだけど。寒い中、あまり連れ回して風邪引かせちゃいけないからな」

そう言って、雅耶は人懐っこい笑顔を見せた。
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