プリズム!
「ありがとな。これ、大切にする…。『鍛え方が違う』って言ったのは、俺のやせ我慢だった。だから、これからずっと大事に使わせて貰う」

雅耶はワザと宣言するようにそう言うと「では、早速」と、それを自分の首に巻いた。

「普通の…女の子とかだったらさ、手編みとか出来るのかも知れないけど…」

控えめに、そんなことを呟く夏樹に。

「普通って分かんないけどさ、俺はこれが良い。夏樹が選んでくれたんだもん。これが一番嬉しいよ」

そう言って、にっこりと笑った。

「超あったかいー。幸せー♪」

本当に幸せ過ぎて、思わず声を上げた雅耶に。

「ぷっ…」

夏樹は吹き出して笑った。

無邪気に笑っている夏樹を、雅耶は眩しげに見つめていたが、

「ホントありがとな。じゃあ防寒対策も万全だし、そろそろ行こうか」

そう言うと、誘うように夏樹の前に自らの手を差し出した。




夜の遊園地は、子連れも多かった昼間の客層とはガラリと変わって、殆どがカップルと言っていい程であった。

二人は幾つか目についた乗り物に乗った後、今度は園内の何処から見ても存在感を放っている、大きな観覧車に乗ってみることにした。


「私、観覧車って初めてかも…」

次第に順番が近付いてきて、夏樹の中には僅かな緊張感が生まれてくる。

「そうなんだ?俺は観覧車自体は乗ったことあるけど、ここのは初めてだよ。これ、国内でも結構大きい方らしいから、きっと上からの眺めは相当良いんじゃないかな?」

雅耶は、ワクワクした様子で上を見上げた。
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