プリズム!
それにつられるように夏樹も視線を上へと向けるが、その目の前にそびえ立つ、観覧車のあまりの大きさに思わず圧倒されて、慌てて視線を戻した。


「………」

(高さのことは、あまり考えないようにしよう…)


今まで十六年間生きてきて、自分でもずっと知らずにいたことなのだが、どうやら自分は少し高い所が苦手なようだ。

つい先程乗った、別の乗り物でそのことに気付いたのだけれど。

だからと言って観覧車には乗ってみたいと思うし、恐怖心よりは好奇心の方が遥かに大きい気がする。

何より見るもの乗るもの全てが新鮮で、楽しくて仕方がなかった。


(でも、それはやっぱり雅耶が隣にいるから…なんだろうな…)

何気なく隣に立つ雅耶を見上げた。


雅耶と一緒なら、きっと何処にいても楽しくて。

少しぐらい苦手なものだって、きっと平気だと思えてしまうのだろう。

自分の目の前に優しく差し伸べてくれる、その大きな手に繋がれていたら…。

きっと、怖いものなんかない。


(でも、それって…何だかすごい…)


とてもじゃないけど、本人には恥ずかしくて言えないな…と、心の中で苦笑している所に、自分達の番はやって来て。

繋いだままの手を優しく引いて前を歩いてくれる雅耶に慌ててついて行くと、何とかそれに乗り込んだ。

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