プリズム!
「…え…これって…?」

それは手のひらに乗る程の小さな包みで、綺麗にラッピングされ、上には小さなリボンが付けられていた。

「クリスマスプレゼント」

「え…でも、プレゼントはもう…」

今日ここに連れてきて貰ったことこそがプレゼントだった筈だ。

それを無言で訴えている夏樹に気付くと、雅耶は笑った。

「ああ…ここのチケットは、あくまでもプレゼントの『一環』だよ。勿論、連れてきたかったのは本当だし、あの水族館の光景をプレゼントしたかったんだけど。でも、それだけじゃ何か俺も物足りないって言うかさ…。ちゃんと残る物も渡したいなって」

そう言うと、包みを持っていない方の手で夏樹の手を掴んで、その手のひらの上にそれをそっと乗せた。

「あ…ありがとう。…開けてみても、良い?」

「もちろん。夏樹が気に入るか分からないけど…」

若干不安げな雅耶を前に、そっと包みを開くと、中に入っていたのは輝く小さな石の付いたシルバーのイルカのネックレスだった。

アクセサリーの類いは、一つも所持していないのは勿論のこと、こうして手にした事さえなかったかも知れない。

その初めて手にする愛らしく繊細な作りに、瞳をキラキラさせて眺めていた夏樹は、

「ありがとう!大切にするねっ」

素直に喜びを口にした。

そんな夏樹の嬉しそうな笑顔に、雅耶もどこかホッとした様子で小さく息を吐くと「うん」と笑顔を見せるのだった。

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