プリズム!
そうしている間にも二人が乗っているゴンドラは、どんどん高さを増していく。

「凄い…。向こうの暗いのは海だよね?船の明かりが見える…」

「ホントだ。スゴイな…」

地上に散りばめられた数々の明かりは、まるで天と地が逆さになった星空のようだ。

「これ、夜も綺麗だけど昼間乗ったら、また景色が全然違っていいんだろうな」

「そうかもね。また…来れると良いな」

遠くの街明りを見つめながら、ぽつり…と呟いた夏樹に。

「また、絶対来ようなっ」

雅耶は夏樹の頭の上にポンッ…と手を乗せて笑った。

「…うん…」


そうして、暫く静かに二人夜景を眺めていた。

ゴンドラの高さは、もうすぐ頂上へと差し掛かろうとしていた。



「そう言えば、この観覧車にはある(うわさ)があるんだ」

もうすぐで頂上という所まで来て、不意に雅耶が口を開いた。

「…ウワサ?」

「うん。丁度頂上に来た時に願い事をすると、その願いが叶うんだって」

「へぇ…願い事…」

「ま、本当かどうかは怪しけどなー。でも、今日はクリスマスの夜だし、普段よりは少しくらい特別なことが起きてもおかしくないような気がするよな」

そう言って「…なんてな」と雅耶は笑った。

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