健康診断の甘い罠

『もしもし、千紗?』


数回のコールの後に、聞こえてきた和弥くんの声にすごくホッとする。


「か、ずや、くん……」


和弥くんの名前を呼んだ私の声は震えていて、それは和弥くんにも当然分かってしまう。


『千紗?どうしたの?歩ちゃん達とご飯行ってたんでしょ?』


心配そうなその声に涙が出そうになって、それを我慢しようとしてツンと鼻の奥が痛くなる。


「うん。それで……駅で、男の……人に」


震えてうまく話せなくて、焦ってしまう。外を見ると、まだあの人達もいるし。


泣きそうなのと怖いのと焦ってるので何だかすごく心細くなってくる。


『どこの駅?』


和弥くんにそう聞かれて、駅の名前を告げると和弥くんがそこで待ってて、と言う。


『十分あれば行けると思うから。待てる?』


和弥くんが来てくれると思っただけで、ホッとして恐怖が和らぐ。


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