健康診断の甘い罠

「うん、でも……ごめんね。迷惑かけて、ごめんなさい」


ホッしたけど、すごい迷惑かけてる気がして謝ると和弥くんが少し笑った。


『謝んなくていいから。怖いなら、このまま電話繋いだままでいいから。……いや、このまま話してよう。電話切ったら俺が心配。よかった、家の近くで』


和弥くんて、このへんに住んでるんだ。


そういえば一ノ瀬さんの旦那さんの働いてる会社と和弥くんの働いてる会社は同じ工業団地の中にある。


そう思いながらありがとう、とお礼を言う。


『いや、頼ってくれて嬉しい。今日、楽しかった?』


「うん、楽しかった」


『俺の悪口言ってなかった?』


そう言われて少し笑ってしまう。和弥くん、私の気を紛らわそうとしてくれてるんだな。


そう思うと身体の震えが少しおさまる。


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