健康診断の甘い罠

「言ってな……言ってたかも」


あれが悪口かって言われると微妙だけど。そう答えると和弥くんが笑った。


『何それ。微妙な……歩ちゃんとかめっちゃくちゃ言ってそうだね』


そう言われて、和弥くんが高倉さんのことを好きだったのかもしれないという疑惑を思い出してまたモヤモヤする。


外を見るとあの人達もまだいてこっちを伺ってるし、なんだか色んな感情がごちゃまぜになってしまう。


胸が詰まって、油断したら泣いてしまいそうだ。


『千紗?』


名前を呼ばれてハッとするけど、何だか言葉が出てこない。


初めての感情にどうしていいか分からずに携帯を持ったまま固まってしまう。


『千紗、どうしたの?大丈夫?』


心配そうな和弥くんの声に、何か喋らなきゃと思うけど今口を開いたら自分の中のごちゃまぜの感情が飛び出してしまいそうで怖くなる。


それがひどく醜い感情な気がして、自分の中にそんなものがあった事に驚いて、嫌悪する。


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