健康診断の甘い罠
そんな私の肩を誰かがグッと引き寄せて、ビクッと身体が跳ねた。
引きつった顔のまま振り返ると、背の高い黒い縁取りの眼鏡をかけた男の人が私の肩を抱くようにして立っていた。
知らない人だと思った私はその人を怯えた顔で見てしまう。
そんな私の顔を見てその人は困ったように眉を下げた。
「千紗、お待たせ。大丈夫?」
そう言われて、それが和弥くんだとやっと分かる。目を丸くしている私を見て和弥くんが苦笑いした。
「ごめん、風呂入っちゃったからコンタクト外しちゃったんだ。びっくりさせてごめんね」
和弥くんがいつもするみたいにおでこがくっつきそうなくらい至近距離から私のことを覗きこむ。
和弥くんのぬくもりを感じて、本当に来てくれたんだなと思ってホッとして身体から力が抜ける。
「急に喋んなくなるから心配しちゃ……え?ち、千紗?」
和弥くんの慌てた顔が目に入って、珍しいなと思う。