健康診断の甘い罠

私の顔を焦った顔で見ていた和弥くんが困ったように笑って、私の頬を撫でた。


「行こっか。泣いてるとこ、見られるの嫌でしょ。俺も千紗の泣き顔、他の奴に見せたくない」


そう言われて肩を抱いたまま歩き出して、私は自分が泣いていることに初めて気付いてちょっと驚く。


私の顔を隠すように肩を抱いて歩いてくれる和弥くんを優しいなと思って、また涙が溢れてくる。


頬を伝った涙が、地面に落ちていく。


自覚したらどんどん溢れてくる涙に困ってしまう私の頬に、和弥くんが優しく触れた。


「行こう、千紗。乗って」


助手席に私を乗せた和弥くんが、運転席に乗って駅の方を見る。


「千紗のことナンパしてきたのあいつら?」


まだそこにいてこっちを見ているその人達にそう、と頷くと和弥くんがその人達を睨む。


「……轢いてやろっかな、あいつら」


冗談に聞こえないその口調に固まる私に、和弥くんが笑う。


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