健康診断の甘い罠
「ゆ、結城さん。前見てください、危ないです」
そう言うと慌てたように結城さんが前を向く。
「あ、ごめん。え、今受けるって言った?」
もう一度聞き直してくる結城さんに私は頷く。
「はい。条件はつけますけど……」
「いや、それは当然そうだろうけど。え、ちょっとこんなにあっさりOKされるとは思ってなかったから。動揺してるんだけど」
運転しながら胸を押さえる結城さんがちょっと面白い。
「どうやって口説き落とそうか色々考えてたのに、やっぱり千紗ちゃん面白いわ」
そう言って今度は笑い出す。ひとしきり笑ってから、結城さんは横目で私の事をチラッと見た。
「俺の事こんなに動揺させるとは、やるね千紗ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
誉められた気がしてお礼を言うと結城さんがまた笑う。
「ちょっと、ほんとに顔とお腹痛い」
笑いながら運転していた結城さんが海沿いに車を止める。