健康診断の甘い罠

「でも千紗が嫌がることは絶対にしないから、そこは安心して。俺、一度決めたことは何があっても貫き通すタイプだから」


それは分かってるし、信頼してる。


今日一緒に過ごしてみて、それがよく分かった。


頷く私を見て和弥くんは嬉しそうに微笑んだ。


「千紗はまだ俺のこと好きじゃないでしょ?」


そう言われて考えるけど、好きか嫌いかで言ったら……。


「好き、ですよ?」


そう言う私に和弥くんは困ったように笑う。


「うん、まあそうなんだろうけど。俺はもっと好きになってほしいの。それこそ、千紗が俺に全部をあげていいって思うくらいに、好きになってほしい。だからまだまだダメだよ。今は俺がちょっと触れても嫌じゃないってレベルでしょ?」


全部って……そういうこと、だよね。


それはさすがに恋愛経験ゼロの私にも分かる。


そう言われたら確かに今は無理かも。


まだまだ恐怖心の方が強くてそういう事をしている自分が想像できない。