御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「いつも可愛いけれど、今日のあなたもとても素敵ですよ。紺のワンピースにその大粒のバロックパールのペンダントが映えて、とてもノーブルです」
「あ……ありがとうございます」
「年代物みたいだけれど、どなたかから譲り受けたものですか?」
「はい。亡くなった祖母の形見の品で」
「それじゃ、とても大切なものですね」
怜人さまは人を褒めるのがとても上手い。私だけではなく、会社でも分け隔てなく声をかけてコミュニケーションをとっている。
そんな親しみのある態度で、誰にでも好かれている社員自慢のCEOだ。
特別な意味があるわけじゃない、そう分かっていても、怜人さまに褒められると自然に脈拍が増えてしまう。
……第一、こうして車にふたりきりで乗っていること自体、緊張してしまう。
「……理咲は肌の色が白いから、パールのシャンパンゴールドがとてもよく映える」
追い打ちをかけるように視線を向けられ、流れるように動いた眼差しに一瞬釘付けになる。
一瞬で頬が熱に染まった。こんなの、本当に心臓に悪い。