御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


「いつも可愛いけれど、今日のあなたもとても素敵ですよ。紺のワンピースにその大粒のバロックパールのペンダントが映えて、とてもノーブルです」


「あ……ありがとうございます」

「年代物みたいだけれど、どなたかから譲り受けたものですか?」

「はい。亡くなった祖母の形見の品で」

「それじゃ、とても大切なものですね」


怜人さまは人を褒めるのがとても上手い。私だけではなく、会社でも分け隔てなく声をかけてコミュニケーションをとっている。

そんな親しみのある態度で、誰にでも好かれている社員自慢のCEOだ。

特別な意味があるわけじゃない、そう分かっていても、怜人さまに褒められると自然に脈拍が増えてしまう。

……第一、こうして車にふたりきりで乗っていること自体、緊張してしまう。


「……理咲は肌の色が白いから、パールのシャンパンゴールドがとてもよく映える」


追い打ちをかけるように視線を向けられ、流れるように動いた眼差しに一瞬釘付けになる。

一瞬で頬が熱に染まった。こんなの、本当に心臓に悪い。


< 47 / 242 >

この作品をシェア

pagetop