御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
『理咲、こちら僕の古くからの友人でハリー。それに、彼女はハリーの妹のレイチェル。レイチェルはいつ日本に来たの?本当に久しぶりだね』
そう言って微笑む怜人さまに、美しいブロンドの女性は弾かれたように抱きついてくる。
私に触れていた手が彼女を抱き留め、そしてハグとキスの挨拶を交わした。
当たり前の挨拶なのに、なんだかざわざわするのは、その女性が明らかに怜人さまに好意を抱いているのが分かるからだ。
『あぁ、フィル!会いたかったわ!フィルに会わせて頂戴ってハリーにお願いしていたところなの』
『僕も会えて嬉しいよ』
抱きつくように首にまわされた手を外しながら、怜人さまが苦笑しながら彼女を私に紹介する。
『こらこら、少し落ち着けレイ。そちらのお嬢さんが驚いてるじゃないか。フィル、このかわいい人を早く紹介してくれ』
ハリーが人懐っこい笑顔を私に向けて、私に近づいてきた。すると、レイチェルの手からするりと逃れた怜人さまが、まるで妨害するように間に割って入る。
『こちらは理咲。今僕の秘書をしてもらってる女性だ。秘書といっても、特別なんだけど』
『すごくきれいな黒髪だ。日本の女性には、やっぱり神秘的な美しさがあるね。だけどフィルが日本人の女の子を連れてるなんて、初めて見たよ』
よろしく、と言って差し出された手に応えると、大きな手がぎゅっと私の手を包み込む。
『ね、一緒に食事しましょうよ』
レイチェルの提案に頷き、私たちはそのまま同じテーブルについた。