御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「紅茶が少しくらい濃くなっても、甘いミルクティーにすればいいだけのことです」
そう言いながら頬にくちびるを寄せると、ちゅっと音をたてるキスを落とされる。
ふわふわした柔らかな髪がうなじに触れて、くすぐったいのと恥ずかしいので、すでに耳まで真っ赤だ。
「あの、れ、怜人……。びっくりするので、そういうことは……」
「これは朝の挨拶ですよ。ちゃんと教えたでしょう?親しい人との間では、これは普通です。……あなたもちゃんと僕に返してください」
くるりと体を正面に向けられ、私を囲い込むように作業台に両手をついた怜人さまは、「ん」とねだるように顔を近づける。
寝起きで少し乱れた前髪の隙間から、魔法のような瞳で見つめられ……抗うことなど不可能だ。
ドキドキしながら彼の頬にちゅ、とキスをすると、そのとたん端正な顔がくしゃくしゃに崩れる。
それからまた彼から与えられる抱擁は、もう『挨拶』の範囲を超えている。