御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


「今日は買い物に行きましょう。あなたの服がどう考えても足りないし、今夜のパーティのこともあります」


朝食の準備が整い、ふたり向かい合ってテーブルにつくと、怜人さまがそんなことを言った。

今夜は、怜人さまの大学時代の友人のウェディングパーティがあるらしい。

もちろん、プライベートなもの。怜人さまの立場も考えて同行を一旦は断ったものの、どうしてもと懇願され、あの甘い瞳に負けてつい承諾してしまった。


「あの……。この間クラウディアさんが選んでくださった服で十分です」

「僕が他の服を着たあなたを見てみたいんです。……ダメですか」


そう上目使いで聞かれては、拒絶などできたものではない。

渋々うなずくと、彼は「じゃあ、美容院の予約も」とさくさくと段取りを進めてしまう。

ミルクたっぷりの紅茶を飲みながら、私は小さなため息をひとつついた。






少しドライブを楽しんだ後、怜人さまが私を連れて行ったのは有名な英国ブランドの直営店だった。

一流ホテルのショップフロアにあるその店で、どうやら怜人さまは時々自分の服も調達しているらしい。

顔なじみらしい上品な店員さんに「いらっしゃいませ」と満面の笑顔を向けられ、目を細めるだけの挨拶を返す怜人さまに続いて、私もぎこちなく会釈をする。


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