素敵な夜はあなたと・・・
「やっぱり、茜にはしっかりした家庭が必要なんだよ。それは君も分かっているだろう?」
「だけど、もう、光一さんは家を出てしまったのよ。それに、彼をこれ以上苦しめたくないわ。」
「だから、俺がいる。やっぱり、俺達が一緒になるのが一番良いんだよ。」
まさかこんな展開の話になるとは思わなかった美佐は正直戸惑っていた。
これまで甘やかして育てた自分にも責任はあるものの、いきなり家族に見放されたような生活を強いられ精神的に乱れてしまったのならば、そんな茜の不安を取り除いてやりたいと美佐はそう思っていた。
その為には茜を大事に想ってくれている優也に相談すれば良い知恵を拝借できると思った。
なのに、その結果、得られたのは知恵ではなく美佐への求婚だった。
以前この喫茶店で会った時の優也はとても茜の身を案じていた。茜を大事に想ってくれているからこそ茜を案じているのだと思った。その想いは茜を妻として見てくれているからそんな感情が優也にも表れていると思ったのだ。
「父はそうは思っていないわ。茜が卒業すれば二人は一緒に暮らすんでしょう?」
「茜も俺もお互いに相手をそんな目では見れないのだったら無理じゃないのか?」
美佐に向けられる熱い目はまだ健在なのだと思った。そして、その目は美佐を捕えて離そうとはしない。ハッと気づいた時、美佐の手を握り締めている優也の手に気付いた。