素敵な夜はあなたと・・・
「痛いわよ。そんなに力入れなくても、車に乗るのだから離して!」
優也に触れられたくない茜は、優也の手を払いのけると渋々車に乗って窓の外を見ていた。
優也と顔を合わせるつもりのない茜は無言のままで優也の顔を少しも見ようとしなかった。そんな態度を見せる茜に、美佐が何故茜の事を相談に来たのかが分かった気がした。
きっと、茜は美佐に対してもこんな態度を取ったに違いないと思った優也は、この反抗的な態度の理由を知るまでは茜とは離れることは出来ないと思った。
会長命令である前に、美佐にこれ以上心配をかけさせられない。光一と別居した美佐に頼られてしまったのだから、ここは何としても美佐の為にも茜から理由を聞きだそうと思っていた。
「茜、さっきの男は友達なのか?」
優也の質問など耳に入れるつもりのない茜は完全無視を決め込んだ。優也が何を言おうが何を聞こうが関係のないこと。自分は浮気をしているのに、茜に自由を認めないのは不公平だと思っているだけに、優也の話など聞く耳は持たなかった。
茜のあからさまな態度に苛ついた優也は、走らせる車を茜のマンションから二人が住んでいたマンションへと向きを変えていた。
しばらく車が走って茜はそれに気付くと優也の持つハンドルをいきなり掴んだ。