素敵な夜はあなたと・・・
茜が斎藤とキスしている写真を眺めているのを見て優也は目を細めていた。眉間にしわを寄せてはその写真を取り上げた。そして、茜の目の前で破り捨てた。
「あら、いいの?妻の浮気現場の重要な証拠よ。それがあれば離婚の申し出も簡単に済むんじゃないの?」
「・・・・離婚したいのか?」
優也の如何にも離婚したくないと言いたげな言葉に茜は笑い続けた。美佐といい関係にあって求婚もしている優也は茜と離婚したがっているはず。なのに、何故そんな離婚したくない様な物言いをするのか理解出来なかった。
「私はこの結婚に関してはお祖父ちゃんには逆らえないの。舞阪家の一人娘として育ってきたのだから、政略結婚くらい覚悟は出来ているわ。ただ、こんなに早く結婚させられるとは思わなかったけどね。」
茜は開き直ったのか平然と話す。いつものような茜の様で少し以前とは変わったような気もした。優也は茜が少しずつ大人に近づいているのだと感じた。
「会長が何故結婚を急いだのか分かるか?」
「お母さんが私を16歳で生んだからよ。お祖父ちゃんの会社の後継者の夢が絶たれたからよ。」
「それだけ理解出来ているのにどうしてあんな男と遊んでいるんだ?!母親の二の舞になるつもりか?!」
優也は茜を責める様に言うが、茜は小さな声でポツリと「もう遅すぎる」と呟いた。その言葉に優也はまさか茜があの男と関係を持ってしまったのかと驚きで言葉に詰まってしまった。