素敵な夜はあなたと・・・
「頼むから会って話を聞いて欲しいんだ。もう、君だけが頼りなんだよ!」
電話の先では困ったような声で話をする美佐。優也がもっと茜の夫として振る舞っていれば、きっと、茜も心を開いてくれると美佐は何度も説明した。
これ以上二人で会わない方が優也の為だからと説得する美佐に優也は納得できなかった。
「美佐!頼むから会ってくれ!俺は会いたいんだ!会って話を聞いて欲しいんだ!美佐!頼むから!」
夢中になって美佐に会って欲しいと懇願しているとガダンとドアが開く音が聞こえた。
茜は居ないはずなのにと、振り返るとリビングのドアの所にその茜が立ち竦んでいた。
美佐を誘い出そうとする優也の必死な表情に、茜は顔色を変えることなく優也の前を通りすぎた。
茜が戻ってきたことで慌てて電話の電源ボタンを切っている優也を横目で見ている茜。慌てふためる優也に茜は鼻で笑った。
優也が茜に何度も話し合おうと言ったのは、美佐との仲を進めるために茜との離婚を望んでいるのだと思えた。今の電話の会話がそう思わせていた。
茜は随分前から離婚を望んでいるのだから喜んで応じてやると心のなかでは既に決まっていた。
「大切な電話の邪魔してご免なさいね。」
嫌味な言い方をしてしまった茜は、まるでさっきの優也の電話に嫉妬しているように聞こえてしまう。
「嫉妬か?」
「まさか!離婚なら遠慮しないで良いのよ。何時でも応じてあげるから。」
それだけ言うと茜はリビングから出ていった。そして、マンションを出ると斎藤を呼び出していた。