素敵な夜はあなたと・・・
「斉藤君、会いたい。今すぐに来て。会いたいの。」
未だに続いている優也と美佐の関係に茜は胸が苦しくなった。
斉藤を呼び出す茜の声があまりにも切なく今にも消えてなくなりそうな声に、何か茜の身に起きたのだろうかと急いで茜の所へと斉藤が駆けつけた。
マンションのエントランスで待っていた茜は斉藤がやって来たと分かると、斉藤に駆け寄って抱きついていた。
「斉藤君、私、家に帰りたくない。」
「茜」
「お願い、斉藤の所に泊めて。」
斉藤は茜がまた祖父の部下に嫌がらせでもされたのかと心配になった。二人の交際を認めない祖父も優也も茜や斉藤にとっては邪魔な存在だが、簡単に無視できる相手でもない。
抱き締める茜の体が少し震えているのに気付いた斉藤は茜の肩を掴んで引き離した。
「何かされたのか?!」
頭を振った茜は斉藤の唇に軽くキスをした。そして、斉藤の頬を両手で挟むと涙目になって「キスして」と催促した。茜に辛い思いをさせているのだと思った斉藤は茜を抱きしめると、何時ものキスよりもっと深く甘いキスをした。
そして、優也は、美佐との電話は茜の誤解で茜が思っているような内容の会話ではないと説明すべきだと、茜の後を追ってきていた。
ところが、優也が見たものは茜と斉藤の抱き合う姿だった。
優也は物陰から二人を見つめていたが、あまりにも乱れたキスを始めた二人に優也は部屋へと戻ってしまった。