素敵な夜はあなたと・・・
部屋に戻った優也は二人のキスの様子から、茜は斉藤とはかなり深い仲だと分かった。
「茜!」
リビングのソファーに腰かけた優也は頭を抱え込んでいた。もう、ここまできたら二人の溝は埋められないのか?と、優也は茜とやり直すことに疑問を持ち始めた。
そこへ、電話の着信音が鳴り響く。電話の相手は美佐かと急いで電話を取り出した。しかし、画面に表示されたのは会長の名前だった。
タイミングの悪いときに電話が来るものだと優也は笑ってしまった。悲しい思いを押し殺しながら通話ボタンを押した。
「はい、黒木です。」
「その後の茜はどうだ?あの写真の男とは別れたのか?」
「いいえ。」
「そうか。やはり、あれも美佐の娘だと言うことだな。ところで、美佐が見合いを断った。その事で何か聞いていないか?お前が関わっていることはないのか?」
会長が疑うのは最もだと思えたが、優也もまたことごとく美佐には振られた。
何度もプロポーズしたが返ってくる答えは決まっていた。それは『別れても光一さんを愛しているの』という言葉だった。
美佐と光一の離婚は二人の愛情が無くなったのではなく、光一の立場を思いやった美佐が決断を下したもので、愛しているからこそ別れたのだと思い知った優也は美佐から手を引いた。
そして、美佐以上に今は茜が気がかりで優也は夜も眠れない日々を過ごしていた。そんな話を誰にも言えない優也は毎日が辛かった。