素敵な夜はあなたと・・・
「茜、本当に家へ帰らなくてもいいのか?我が家は大歓迎だけど、お前の祖父ちゃんと揉めるのだけはご免だからな。後々面倒なのも困るし。」
「うん、そうだよね。ごめんね。」
斎藤の家に暫く厄介になっていた茜だが、そんなに何日もお世話になる訳にも行かず、その日昼ご飯をご馳走になるとしっかりお礼を言って斎藤の家からも出てしまった。
『追い出したいんじゃないんだよ。祖父ちゃんとはしっかり話し合って仲良くして欲しいんだよ。』
茜の心配をしてくれる斎藤は有難い存在だった。だから、ベッドの中で茜は斎藤に聞いてみたことがある。
『ねえ、斎藤君。私と結婚しない?』
斎藤は驚いたような顔をして茜を見たけれど茜が冗談半分で話て居るものだと思って真に受け取らなかった。けれど、それでも斎藤はしっかり考えて応えてくれた。
『そんなのまだ決められる年齢じゃないよ。俺達はこれからなんだからさ。』
『そうだよね。普通はそうだよね。』
斎藤は茜の家でも政略結婚の話が出ても不思議ではないと思っていた。そう言う斎藤の家も会社を経営する両親を持っている。そんな茜の家庭の事情も分かっている。
だから、茜の祖父の機嫌取りしたいわけではないが、機嫌を損ねることは避けたいと思っていた。
『俺は茜の味方だからな。忘れるなよ。』
斎藤のその言葉が何より嬉しかった。けれど、結局、優也の存在が斎藤とそれ以上の仲になることを邪魔し、斎藤との未来もないものだと分かった。